マニュアル作成の取組み

ダイテックとマニュアル作成の縁

ダイテックは1987年に、当時、稀であったマニュアル作成の専門会社として広島に設立しました。
母体は設計会社の株式会社大興にあり、歴史は技術文書制作部署が地元自動車メーカでの整備書(ワークショップマニュアル)作成業務をサポートしたことに始まります。

時代は1980年代後半。マニュアル作成ビジネスのきっかけとなるPL法(製造物責任法)の施行の動きにより、国内メーカ様のマニュアルへの関心が一気に高まった時期です。 「モノづくりをマニュアル視点からサポートしたい」と考えたダイテックは、PL法(製造物責任法)の内容や、欧米で法制化が進む「製造者の過失を要件としない無過失責任」の解釈について、徹底的に調査し情報を蓄積しました。

そうして、 PL法(製造物責任法)の施行に不安を抱える全国のメーカ様へマニュアル作成の指導、作成の支援を実施し、ビジネスとして取り組み始めたのです。

マニュアル作成会社ダイテックを支えた技術

ダイテックが産声をあげる1980年台前半から、国内ではDTP(DeskTop Publishing)と呼ばれコンピュータ上で版組作業を可能にするドキュメントプロセッシング技術が普及し始めていました。

ダイテックも、設立とほぼ同時にJStar、Macintosh等のドキュメントプロセッシングシステムを導入したのです。これによりマニュアル作成は、情報収集・執筆サービス・版組作成まで一気通貫の対応が可能になったのです。マニュアル作成サービスがお客様へ提供価値を生むと確信できたのはこの時でした。 「常に新しいことに好奇心をもち挑戦する」という企業風土と社員の姿勢は、こうして培われたものです。

SGMLとの出逢いとダイテックの一大転機

間もなく、現在のサービスの礎を築くきっかけとなる新技術へのチャレンジが、ダイテックを待ち受けることになります。

「SGML言語でマニュアル作成をする」という、途方もないリクエストが米国の自動車メーカ発で舞い込んだのです。

「SGMLって何??? 」から始まったこの難題に対して、国内外から優秀なエンジニアを迎え、昼夜を分かたず研究を重ねました。その結果、自社でSGMLによるマニュアル作成システムを開発し1996年に運用を開始するまでになります。

このシステムは、40か国言語の展開や情報の部品化、版管理機能により業務の効率化を実現しました。また、ワンソースマルチユースの実現によりHTMLマニュアル、PDF、製品組込みマニュアル等のデータ生成を実現し、多様なメディアへのコンテンツ対応を可能にしました。

また、文書生成におけるASPサービスとしてパッケージ化され、メーカ様のドキュメント部門で活用されることになります。

マニュアル作成会社としての社会的使命

「SGML騒動」への対応は、ダイテックがマニュアル作成会社として業界内で認知される出来事になりました。また、メーカ様から「マニュアルの作成の仕掛けづくりからマニュアルの作成にも対応が可能な会社」として、高い技術力とマニュアル作成能力が評価され始めます。 徐々にダイテックは、メーカ様のドキュメント制作の仕事を丸ごと引き受けるようになり、ついには、自動車メーカ様との共同出資によるドキュメント作成会社を設立する等、着実に実績を積み上げていきます。

それとともにダイテック内に「マニュアル作成で日本のモノづくりを支える」という社会的な使命感が醸成されて行きます。

ダイテックの強みと提供価値について

マニュアル作成システムを完成したダイテックは、自動車業界以外で、国際規格対応、製造物責任のノウハウを中心としたサポートを展開していました。とりわけ、半導体機械業界、工作機械、医療機器業界でのマニュアル作成サービスの取引を増やして行きます。

その多くで、製品の開発、設計部署の担当者から直接情報を聞き取り、現場での実機取材、図面情報の収集等、マニュアル作成に必要な活動を代わりに受け持つことになります。

この人間力中心のサービスは、ドキュメントプロセッシング技術などシステム系サービスの対極にあるダイテックの強みと提供価値として確立されて行きます。

マニュアル作成サービスを立ち上げた頃は、DTPソフトを使った版組サービス(仕上げ屋さん仕事)が主流でした。しかし、ダイテックの創業者は、「原稿を書いて設計者を楽にしないと絶対に喜んでいただけない」と常に申しておりました。「技術がわかり、図面が読め、製品を理解できることを武器として担当者に寄り添うことが最大のサービス価値」という技術者魂が、その根底にあったと言えます。

ダイテックは、モノづくりを支える黒子として、ドキュメント作成を通じ、メーカの生産活動の効率化、製品の価値の向上、使用者の安全安心の確保に貢献できることを最大の提供価値と考えています。

情報は企業経営のちから!マニュアルは価値!

ダイテックはマニュアルを企業様の経営効率化の手段としてとらえています。

創業当時、「マニュアルは製品に付属しなければならないモノ」として扱われていました。「製品開発が終わったあとの残務処理」 、「出荷できないから仕方なく作る」 と設計者は考え、製造現場では、熟練作業者が新人に「技を盗め、見て覚えろ」等、あらゆるケースで情報の可視化、共有、教育が、おざなりにされてきました。

長い間「マニュアル作成はコストであり、費用は最小限にするという文化」がはびこっていたのです。投資という概念は全く存在しない世界が続いていました。

マニュアルの進化と未来

ダイテックは、マニュアルは企業経営の最強ツールと考えます。

マニュアルにより、企業内の情報の可視化と共有化を図り、効率よく伝えることで、企業活動の効率アップとサービス品質の向上が図れると考えます。

情報の分かり易さは、文字・イラストだけでなく、動画化・音声を使用することでさらに向上します。また情報は、通信技術の向上によりスマートデバイス・ウェアラブルデバイスへ配信・閲覧できます。さらに、AIの利用により的確でスピーディなデータ資産の検索やトラブルシューティングの実施等を可能にします。 無限の進化を続けるマニュアルは、コストから価値へそのプレゼンスを変え、企業経営の必須アイテムへと進化を遂げます。