知らないと損をする!業務マニュアルのつくりかた

序章

あなたの今やっている業務にマニュアルはありますか?

「頭の中にあるよ!」それは危険です。

エンドユーザーに対して、会社として同じ品質のサービス (成果物)を提供する義務があります。

あなたが提供する価値(サービス・モノ)と隣の人が生み出す価値は同じ品質ですか?

百歩譲って全く同じ品質であっても、同じ方法(プロセス)でその価値を生み出していますか?

その成果物を生み出すのに全く同じプロセス(方法)をたどっていますか?

同じであればOK!もし違うようでしたら、

・どちらが、より早く作れるか?

・どちらが、ミスが少ないか?

など、検討する必要があります。

何が最善の方法か、検討するのも大切な業務のひとつです。

本稿では「知らないと損する!業務マニュアルのつくりかた」について、説明いたします。

■業務マニュアルとは何か?

日々私たちが会社(上司)から指示され作業しているアクションを詳細に明文化し、文章やイラスト・写真、時には実写動画やアニメーションを駆使して、誰でも同様に作業できるようにする説明書です。

■業務マニュアルのメリットは?

・作業を明確にして、分析検討し「ムリ・ムダ・ムラ」を防げる

・属人化してしまう作業を(その人がいなくなっても)誰でもできる

・製品やサービスの不具合が発生した時に、手順書に立ち返って業務分析できる

・新人教育の際、統一した作業フローで教えることができる

■業務マニュアル作成手順

①マニュアル化したい業務を決める

マニュアル化する業務は何か?を決めます。たとえば「総務業務全般をマニュアル化する」としたら、まずは総務業務を体系化しましょう。

1. 現在総務が請け負っている業務を思いつくままに列挙する

2. 対社内、対社外、対社内外などカテゴリー別に分ける

3. さらに細かく分ける (例:対社内…社員福利厚生、人事異動、給与など)

4. さらに細かく分ける(社員転勤…交通費変更手続き、住居手当変更手続き、所属変更手続き・・・)

など業務を樹形図で表し、各業務がどの業務と繋がっているかなど会社からの視点と個人からの視点など両方向から俯瞰できる図を作成して業務の「見える化」しましょう。

②フローチャートを作成

細かく分けた業務(手続き)ごとにフローチャートを作成しましょう。

みなさん業務を「普通にこなしている」と思いますが、よく見るとかなりの手順を踏んでます。

この「普通にこなしてる」業務を分解することから始めます。「分解?」と「はてなマーク」が飛び交うと思いますが、「分解」とはひとつひとつ手順を書き出すことです。たとえば「交通費変更手続き」という業務マニュアル手順を作成してみましょう。

1. PCの電源ボタンを押す

  ※PCが起動します

2. ID, PASSを入力する

   ※WINDOWSが起動します

3. ブラウザのアイコンをクリックする

4. ブラウザ上部のバーより「お気に入り→社内サイト」を選択する

  ※社内サイトが表示されます

5. トップページの「各種帳票」を選択する

6. 「交通費関連書類」を選択する

7.  「変更手続き書類」のダウンロードボタンを選択する

  ※ダウンロードが開始されます

などなど、なるべく詳細にアクションを書き出して、フローチャートを作成しましょう

③業務分析する

各業務をフローチャート化したら、今度は関係者でこの手順が最善かどうか検討しましょう。

もし他の方法で作業している人がいたら、その方法もチャート化してみましょう。

ここでの検討が非常に重要です。できればベテラン社員から新人まで幅広い層で検討することをお勧めします。以外な手順やアイデアが見つかるかもしません。

④アウトプットを決める

チャート化できて、業務分析まで終えれば、後はアウトプットです。

どんなに業務分析ができて手順が洗練されても、作業者が閲覧しなければ、無用の長物になります。マニュアルは「閲覧されてこそ意味がある」ものです。その閲覧のカギを握るのがアウトプットになります。

アウトプットの方法として大きく分けて

・出力紙で閲覧

・PC,タブレットなどデバイスで閲

があります。

これはどちらが良いというものではなく、業務の種類や閲覧する場所などにより決める必要があります。ただし、出力紙を選択した場合、後から出てくる一番重要な「改訂作業」の際、いちいち印刷して差し替え、追加する必要がありますので、それなりの労力が必要です。

PCやタブレットの場合、データを変更して、変更通知を各人にアナウンス(メール等)すればOKです。しかし、粉塵の多い場所や防爆が必要な場所はPCやタブレットは向かないかもしれません。重要なことは、ケースバイケースで最適なアウトプットを選択することと、改訂が発生した場合の運用ルールを守っていくことです。

⑤フォーマットに落とし込む

アウトプットが決まれば、後はそのフォーマットに落とし込むだけです。ここで重要なことは、フォーマットは「シンプル イズ ベスト」ということです。派手な色合いのマニュアルも見た目はキレイで良いですが、改訂作業を考えると非常に面倒です。誰かが不意にフォーマットを壊してしまう!なんてこともあります。

フォーマットは不特定多数の人が編集することを前提にシンプルなものを選びましょう。また文字だけでなく、イラスト・写真を貼付けられるようにしましょう。できれば、アニメーションや動画も添付できればさらに良いでしょう。(紙の場合は難しいです)

■業務マニュアルNGポイント

「フローチャートを作って、業務分析して、アウトプットを決めて、フォーマットに落とし込んだ!やったー!完成だ!」と叫びたくなる気持ちも分かります。

ここまでの険しい茨の道を思い返すと上司に一杯おごってもらっても罪にはならないでしょう。。。と言いたいところですが、(厳しいことを言いますが)実はここからがスタートです。

業務マニュアルの手順通りに作業してもらいましょう。一度業務分析・検討しておりますので、作業者はスムーズに作業できるはずですが・・・「あれ?こっちの方が良かった」という意見が出てきます。これが重要です。この意見をすぐに議題に上げて検討して、必要であればマニュアルを改訂しましょう。

「このような改善点がマニュアルを作成してすぐに出てくるのは如何なものか」と思われる方もいらっしゃいますが、そこは目をつぶって、すぐに改善活動に着手してください。

マニュアルが週ごと、月ごとに改訂されていれば、作業者は安心してマニュアルを閲覧できます。「なんだ!このマニュアルの情報は、古いぞ!」と思われるのが一番のNGポイントです。業務マニュアルが日々改訂更新されて、まさに「生きて」いれば、業務改善に積極的な会社として、エンドユーザーからも高く評価され、業務マニュアルによって品質も担保され、引いては会社の業績に貢献できます。

実例として、成果物に不具合が発生した場合、エンドユーザーの会社より業務マニュアルの提出を義務付けられている会社もあります。(どの工程で不具合が発生したか原因追及の資料として使われます)

作って終わってしまう残念な会社が、実は非常に多いのです。(業務マニュアル「アルアル」ですが・・・)

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