取扱説明書はどこの部署で作るのが正解なの?

取扱説明書ってどこの部署で作るの?

このブログを読んでいる皆様はどこの部署に所属してますか?

設計?技術サービス?様々でしょう。中には

「なんでうちの会社は設計で作ってるんだ?」とか

「なぜ技術サービスで作るの?」

など疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。当然のことながら「ここで作らねばならない!」という正解はありません。

もちろん取扱説明書を製品の一部と考え、「マニュアル部」という部署を作って、そこで10名上のスタッフをかかえ、すべて社内で作成されている会社もあります。ただそれは少数派です。多くは、本来持っているコア業務との兼任で取扱説明書を作成されております。

本稿では「取扱説明書はどこの部署で作るのが正解なの?」について、説明いたします。

取扱説明書を作っている部署3選

1.設計開発部

ここが作成するのが一番多いような気がします。なぜ多いのか?

それは設計で作るのが一番手っ取り早いからです。なぜ手っ取り早いのか?それは設計に全ての情報があり、彼らが製品の事を一番分かっているからです。

「分かっている人が作るのが一番早い」という最もシンプルなロジックが働いて、設計部で作成される場合が多いのです。

しかし・・・立ち止まって、よく考えてみると、設計開発部は会社の根幹をなす部署です。もちろん会社にある部署はどれも大切な部署ですが、特に設計開発は「製品を開発し設計する」というまさに文字通りの部署で、会社の儲けの源泉を担っている部署です。

設計開発は会社の花形部署であり、コア部署であることは明らかです。ここに取扱説明書作成を依頼するということは、設計開発というコア業務に専念できない可能性があり、少なくとも市場リリースというゴールまでの限られた時間を(取扱説明書作成に)割り当てる必要があります。

「どこか他の部署がやってくれないかな?」そう思いながら、残業時間で取扱説明書を作成しているでしょう・・・

2. 技術サービス部(技術管理部)

取扱説明書を作成するのに一番しっくりする部署です。

技術をとりまとめて管理してアウトプットする。そんな意味合いのネーミングからでしょうか?

メカ・エレキ・ソフト・システムの各設計部や品質(安全)保証部、知財部などと連携しながら取扱説明書への掲載情報を収集・整理する。だれもが納得して協力してくれそうです。

ただし、技術サービスのコア業務はアフターサービスにあります。(もちろん例外もありますが)

昨今のアフターサービスは製品のコモディティ化にともない、他社との差別化を担う重要なタスクがあります。また技術管理部であれば、技術データ運用や管理、今でいえばPLMPDMの社内運用ルール策定やその後改訂管理など、やるべきタスクは山のようにあります。

この中で取扱説明書作成をどうポジショニングするか、難しい選択がありそうです。

3. 営業サービス部(営業企画部)

初めてこの部署名を聞いた時頭に「???」が飛びました。営業の人なの?サービスの人なの?

営業は基本的に間接部門。サービスは売上部門のはず・・・なのに営業とサービスが一緒になると間接か?売上か?そんなことを考えておりました。

営業サービス部で取扱説明書を作成するのは、営業マンもサービスマンも、ユーザーに接する機会が多く、会社のフロントに立って装置を説明する必要があり、最も顧客目線で装置を見ることができるためです。

ただし、営業の本来のタスクは製品を販売することです。それ以外はコア業務ではないと言っても過言ではないでしょう。経営陣も営業の売上に一喜一憂するのが常です。そのような部門で取扱説明書を作成するとなると非常に難しい側面があります。

一つはスケジュール管理の面です。

取扱説明書作成はスケジュールが日々変わっていきます。自社の関係者以外にも制作会社や印刷会社ウェブ制作会社などたくさんの外部ベンダーも絡んできますので、情報をいかに迅速に共有するかが重要になってきます。

もう一つがデータ管理です。

取扱説明書を作成するにあたり、データの管理方法は非常に重要です。仕向け地やモデル単位、改造や設計変更など反映した取扱説明書と反映していないものなど、正確に管理する必要があります。昨今のCMS(コンテンツマネジメントシステム)を使うなど方法はありますが、それにしてもシステムの内容は細かく理解しておく必要があります。

3. 番外編

上記3部署以外でも取扱説明書を作成している部署があります。

たとえば品質保証部。装置の品質を保証する立ち位置から、取扱説明書も作成するというながれでしょうか?次に総務部。これは社内全体に声がかけやすいからでしょうか?

いずれにしても、その会社の中で一番全体を見回すことができて、比較的業務を平準化できる部署(突発的業務が発生しにくい部署)で作成することが多いようです。

取扱説明書の制作は多言語展開まで含めると長期間になることも多く、なるべく計画的に進められる部署が担当するのは理にかなっていると思います。

トリセツ初担当のやるべきこと2つ

もともと所属部署で取扱説明書を作成しており、引継ぎも完ぺきに担当になる人は実はあまり多くありません。「今度新しく担当になりました。」というフレッシュな方によくよくお話を聞いてみると「今まで設計でやってたけど忙しすぎてこっちに回ってきた」とか「社内文書管理やってたら、いきない取扱説明書作成もまわってきた」とかいう、笑えないエピソードもありました。取扱説明書作成を自ら志願される方は、長いトリセツ人生で未だお会いしたことがありません。

急に担当になってまず何から始めれば良いのか?悩むところではありますが、どのような経緯で取扱説明書作成担当になったとしてもまず初めにやるべきこと

①自社の取扱説明書を読む。

自社製品の取扱説明書を初めて読む人が実は意外と多いです。

・どのような内容が掲載されているのか?

・ユーザーが理解できる内容になっているか?

・誤字脱字はないか?

このような目線で読んだとき、「あれ?」と思うことがあるかもしれません。

それが実は非常に大切な改善ポイントになります。作成者では気付きにくいポイントも初見の方なら違和感を持つことがよくあります。

②同業他社の取扱説明書を読む。

産業用機械などは手に入りにくいと思いますが、家にあるような家電製品ならすぐに手に入るでしょう。自社製品の取扱説明書と比較して、他社の優れた点や自社の改善点など見えてくるでしょう。「ユーザーは取扱説明書なんて見ないよ!すぐサービスマンに電話があるから!」とは言うことなかれ!Z世代以降の若者は人に聞くより説明書で理解します。製品と同じくらい取扱説明書も重要な位置にあることをご理解ください。

取扱説明書づくりはオモシロイ

「自分の行きたかった部署でやりたいことを思う存分やって会社に認められ光り輝く」

だれもが思い描いている未来です。若い世代であればなおさらです。しかし「不遇な時代こそ自分を磨く絶好のチャンス」とは50代の方々は思い当たる節があると思います。

「トリセツ作成」一見地味で花形業務ではないように思われるかもしれませんが、意外に自社製品を俯瞰して見られる業務でもあります。是非このチャンスを自身のステップアップ、スキルアップと前向きに捉えてください。

やがて「トリセツづくりはオモシロイ」となるでしょう。

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