マニュアル作成を簡単にするポイントとは

序章

マニュアルを作成するのはむずかしいと感じていませんか。確かにマニュアルに求められる要素は数多くあります。多くの方が、どの情報を選択し、どのように整理して記載するべきか、頭を悩ませることがあるはずです。
しかし、ある2つのポイントを抑えるだけでマニュアル作成は簡単になります。本記事ではマニュアルの構成要素や簡単なマニュアル作成のポイントを解説していきます。

マニュアルの構成要素を知ろう

初めにマニュアルを作る上で欠かせない知識を改めて復習しましょう。まず、マニュアルが果すべき役割、目的は3つ挙げられます。

1つ目は効率的な操作方法(取付け方法)と製品の性能確保の実現
2つ目はPL訴訟による製造者、販売者の企業防衛
3つ目は製品使用者の安全確保

そして取扱説明書の品質向上は
・ 製品の機能、イメージアップとブランディング強化
・ サービスコストの低減とサービスのスピードアップ
・ アフターマーケットにおけるサービス品質と顧客満足度の向上
に直結する重要な要素です。

そして以上の目的、効果を得られる「良いマニュアル」の構成要素とは、
・情報のわかり易さ、読みやすさ、(ライティング品質、レイアウトデザイン、視認性)
・情報の探し易さ(タイトル、索引の挿入、レイアウトの標準化)
・機械安全、PL視点からの確認(法令・規格への適合性)
だと言えます。

ここまでは、マニュアルの重要性、構成要素を再認識していただきました。これらの内容を踏まえた上で、次は本記事の主題である「マニュアル作成を簡単に作成するポイント」について説明していきます。

マニュアル作成を簡単にするポイント① 対象者の絞り込みをしよう

マニュアルって、どんな内容を盛り込んで書けばよいかわからない! その大きな理由の1つ目は、対象者の絞り込みを明確にできていないことです。

ナゼ対象読者の絞り込みが必要なのか

この工程が必要な理由は、「技術者目線のマニュアル」にしないためです。「技術者目線のマニュアル」とはその名の通り、製品開発に携わった、あるいは製品に対しての知識がある程度備わっている技術者が作成したマニュアルです。

このマニュアルの欠点としては以下のようなものが挙げられます。
・製品知識があるが故、読者にとっては必要な項目の記載が見落とされている
・製品開発者のため様々な機能の説明を専門用語で行い、「簡潔な説明」「わかり易い言葉の選択」が出来ていない。

技術者目線のマニュアルから読者目線のマニュアルにする。そのためには、対象読者を絞り込み、提供情報を明確にする

・ 誰を対象として(一般ユーザー、オペレータ、保守作業員、サービスマン等)
・ どんな情報(操作説明、清掃、保守要領等)が必要なのか
まず、対象読者の選定をします。その後、対象者にとってどんな情報が必要か考えます。このように対象読者を絞り込むことによって、何が必要な情報とされているのか明確化しやすくなります。

対象者が明確に決まっていると、相手目線での作成を意識するので、技術者目線のマニュアルになりにくくもなるのです。私たちが盛り込みたい情報と、読者が求めている情報にギャップがあると、読まれないマニュアル、わかりにくいマニュアルになってしまいます。そのギャップをなくし、書くべき内容を整理するためにも、対象読者を明確にすることが必要になります。そうすることで、読者目線での内容整理ができるため、顧客に必要とされるマニュアル作成が可能となります。
「対象読者の絞り込み」は、簡単に良いマニュアルを作るポイントであると言えるでしょう。

マニュアル作成を簡単にするポイント② 構成のひな型を作ろう

対象読者は誰か、どんな内容が必要か、前項で考えていただけたと思います。しかし、マニュアルを作るときの大きな問題点の2つ目は、その構成をどのようにするかです。
本記事を読んでいただいている方々の多くは、この部分が難しいと感じているのではないでしょうか。「他社の類似商品の真似をすればよいのか」「ほんとに項目はこれだけでよいのか」「この構成で見やすいのか」など、初めて内製をする方にとっての壁はここにあると考えています。ですが、どんなマニュアルも大きな構成に違いはありません。マニュアル構成のひな型を持っていれば「簡単に」マニュアル作成ができるようになります。

皆さんをサポートするための、マニュアル構成のひな型として、本記事では産業機械の構成についての1例を皆さんにお伝えします。

【産業機械の構成例】

表紙
初めに(使用目的)
見返し(限定保障)(重要なお知らせ)
目次
安全(安全関連のまとめ)
製品の概要
機能説明
セットアップ・据え付け
操作説明
予防保全(定期点検、清掃、給油)
点検調整
部品交換
トラブルシューティング 
付属資料

この構成ひな型はあくまでも産業機械の一例です。製品により構成内容は異なってきますが、大まかな構成自体はどのマニュアルも同様です。ひな型をもつことで、様々なマニュアルに応用できるため、マニュアル作成を簡単にしてくれるでしょう。また、どの産業機械でも使用できる定型句集を持つことで、さらに作業をスムーズにできるでしょう。

まとめ

本記事ではマニュアルの基礎知識、簡単に作るためのポイントについての解説を行いました。 まとめとして、マニュアルを簡単に作るためのポイントはつぎのとおりです

1.マニュアル作成をする上で重要な要素
・情報のわかり易さ、読みやすさ
・情報の探し易さ
・機械安全、PL視点からの確認
2.対象者の絞り込みが必要な理由がある
3.マニュアル構成のひな型を持っておくべき

簡単なマニュアル作りには、「内容を正確に伝えられる方法」の習得が必要です。いくら簡単にマニュアル作成ができても、お客様が理解できるマニュアルでなければ、「情報のわかり易く、読みやすい」「情報の探し易い」「機械安全、PL視点を持っている」の効果は得られません。マニュアルをコスト(作成しなければならないもの)から価値(利益を生み出す情報提供ツール)に変化させることを目指していきましょう。

そのためにも本記事でお伝えした知識を上手く活用し、改善を図っていただければと考えています。しかし、本記事はマニュアル作成をより簡単にするためのものであり、クオリティを上げるにはさらに内容を精査する必要があります。

そこで、ダイテックでは製造業のマニュアル作成改善を検討する際に、考慮すべきポイントをまとめた入門資料「安心と安全をカバーするマニュアルづくり 3つのポイント」「なぜ読むマニュアルから『見る3Dマニュアル』が増えているのか?わかるガイド」をご用意しました。本資料は、マニュアル作成改善をしたい方には必見の資料です。ぜひダウンロードいただき、ご覧ください。

安心安全をカバーする・マニュアルづくりの3つのポイント
お役立ち資料
この資料は、マニュアル作成するうえで知ってもらいたい基礎的な情報を提供するものです。 「何故、マニュアルが必要なのか」「何に従って、何を書けばよいのか」「情報をどうやって伝えていくのか」等の情報を、初めてマニュアルを作成する人に向けて解説しています。 サンプル目次、ISO/IEC82079のチェックリスト、テクニカルライティングチェックリスト、見直し事例等、私たちのノウハ ウや考え方の詰まった貴重な資料です。是非、ご覧ください。
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