序章
マニュアル作成のテンプレートは、帳票のような枠内に書き込むタイプではなく、汎用的な書式だけが準備されているだけでも不十分です。マニュアル作成のテンプレートにはどのようなものがあるのか、どのようなファイルフォーマットをマニュアル作成に利用したらよいのかなど、テンプレートのひとつとして解説しています。
執筆ツールだけでも、普段使い慣れた「Microsoft Word」を利用すればよいのか、DTPデザインで扱われる「Adobe FrameMaker」や「Adobe inDesign」などのDTP編集ソフトを活用した方がよいのか、お悩みだと思います。
本記事にはマニュアル作成のテンプレートを解説します!と題して、マニュアル作成のテンプレートをご紹介します。
どのようなマニュアル作成(取扱説明書) のテンプレートが存在するのか?
テンプレートで想像されものは、人それぞれ異なります。
本記事では、マニュアル作成のテンプレートを、マニュアル(取扱説明書)の種類、編集のためのアプリケーション、閲覧方法などの切り口から、適応したマニュアル作成のテンプレートを紹介します。
マニュアル (取扱説明書) の種類にはいろいろなものがあります。なかでも一番身近なものは、業務マニュアルではないでしょうか?
業務マニュアルのような流用度の低いマニュアル作成では、数百文字のテキスト文書と数枚~数十枚の画像(キャプチャ、写真、イラストなど)で構成される場合が多いはずです。そこで手元にある編集ソフトで扱える範囲のアプリケーション(Word、Power pointなど)の使用が好ましいと思います。
「動画編集」も「動画の画面キャプチャ」も標準で搭載され、使い慣れた方であれば、テキストを書かなくて済み、容易ではないでしょうか。例えばアプリの操作を動画の画面キャプチャで撮影し、編集して社内閲覧環境へ保存し社内アナウンスします。閲覧するブラウザも各PCから社員が閲覧すれば動画は伝わりやすいです。
これらのマニュアル (取扱説明書) は、ある程度の書式や簡易な自動化機能が備わり、レイアウトの変更が出来るものであれば、アプリケーションのテンプレート機能を利用することで、効率的で見栄えのよいものになります。
一方、製品マニュアルのようにページ数が数百頁~数千頁となり、製品によってバリエーションや改版も必要となり、国内外で利用するための安全規格に配慮するマニュアル作成に関しては、書式や簡易な自動化機能だけでは不十分です。
そこで3つの異なった切り口で、製品マニュアルのテンプレートについて説明します。
マニュアル作成のテンプレート(安全規格編)
まず1つ目のテンプレートのご紹介は安全規格編です。製品にもよりますが、製品マニュアルとは、製品の説明や手順などが盛り込まれた取扱説明書、設置する設置マニュアル、操作に特化した操作マニュアル、取扱説明書の内容を抜粋して使い始めの簡易説明を施したクイックリファレンスなど数種類が存在します。
これらのマニュアル (取扱説明書) を作成するとき、製品の種類が複数存在し、製品を販売する国や地域も複数になると、例えば各マニュアル (取扱説明書) に警告安全ラベルを漏れなく記載するために、素早く標準化した効率的な作成工程と規格の専門性が生まれます。
製品マニュアルの多くは、画像(イラスト、写真、図面など)と文章(テキスト)で表現され、目次、タイトル、索引、警告安全の記載などで構成されます。
こうした規格や法規に準拠した項目や構成、警告安全の表記、表現の統一、デザイン性などを、テンプレートとして用意することで、製品マニュアルのテクニカルライティングが実現できます。
家電製品の最初のページ書かれている警告ラベルの記載などがイメージしやすいと思いますが、これらはテンプレートとして、準備しています。
<エディタ>
Microsoft Word:
安価で扱いやすい、平文、紙面レイアウト向き、専門オペレーター不要、テンプレート機能あり
Adobe inDesign:
平文編集(XMLも可能)とデザイン性が高い紙面レイアウト向き。DTPオペレーターの確保は必要、テンプレート機能あり
Adobe FrameMaker:
取扱説明書などページ数が多くデザイン性が少ないマニュアル向き、XMLやDITAでのオーサリングが可能、CMS連携や細かな出力が用意されている、DTPオペレーターの人員確保必須。、テンプレート機能あり
マニュアル作成のテンプレートとファイルフォーマット(3D活用編)
2つ目のテンプレートのご紹介は3D活用編です。マニュアル作成では、数年前から3Dデータの活用を多く見かけるようになりました。容易な使い方としては、既存の画像データの置き換えです。3D CADデータをSTEPなどの中間ファイルフォーマットへ出力し、PC上で表示した対象物の角度や大きさを決定しSVG、PNG、JPGなどの画像フォーマットへ保存し利用します。これまでイラストレータで作成していた鳥瞰図に置き換えた使い方がその一例です。マニュアル作成で扱うイラストの一部を、イラスト作成の時間やスキルがなくても、変換することで画像が用意できます。
ただ、これだけでは折角の3Dデータを活用しきれてはいません。設計部門でも組図レスを促進しているように、マニュアル作成においても、3D CADデータを中間ファイルからXVLファイルフォーマットに変換することで、「テンプレート」のような入力機能を有するツールを利用し、製品マニュアルの組立手順書や、パーツカタログを作成する機能も登場しています。
今後益々マニュアル の表現や作成手順の進化が問われてくるひとつとして、3Dデータを活用したマニュアル (取扱説明書) のテンプレートが重要視されると思います。
マニュアル作成のテンプレートとファイルフォーマット(動画編)
3つ目のテンプレートのご紹介は動画編です。マニュアル作成において、手順の説明に動画をもちいることがあります。HTML形式で作成したマニュアルの中に、動画を埋め込むこともできますが、管理の都合上、製品マニュアルでは動画マニュアルとして作成する機会が多いように思います。
製品マニュアルで扱う動画マニュアルでは、通常のマニュアル作成と同じく改版など考慮し、効率的に作成する工夫が必要です。
動画にテロップを表示する業務では、XMLフォーマットで動画に挿入できるよう、テキストをテンプレートで用意し、動画のタイムライン上にポイントを設けます。そして動画の場面切り替えのタイミングで、日本語、多言語の解説を表現することで、動画と解説文の効率化を図った経験がありました。
また、実写動画では表現しにくい部分を、3D CADデータからXVL変換することで、3Dアニメーションとして3Dデータに動きを付与し、動画のような表現も可能になります。この場合もツールを利用することで、テンプレートのように入力をパターン化することで、流用度が増し、効率的な作業が可能となります。
<エディタ>
Adore Premiere Pro:
音や字幕(テロップ)も自由に編集可能で、編集のオートメーション化機能も有する
モーショングラフィックステンプレートという機能があり、コンテンツを再利用できるファイルフォーマットが備えられてます。
まとめ
マニュアル作成では、それぞれの用途に応じたツールを利用し、テンプレート機能を十分に活用することで、これまで以上に高品質で効率的なマニュアル作成が得られると思います。
それでもマニュアル作成で不安やお困りの際には、マニュアル作成を専門にしている当社にお声がけいただくなど、お気軽にご相談ください。
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