マニュアル作成で3DデータをAR技術に活用する理由とは

序章

当社は、3DとAR技術を利用したマニュアル作成(取扱説明書)の将来性に期待しています。以前は展示会に出展し、多くの方へ身近なARトリセツ(炊飯器にiPadをかざすと該当ボタンの取扱説明書の操作手順が表示される事例)で、実際にご覧頂きました。また、複数のスマートデバイスを試しながら、マニュアル作成の効率化を図り、AR技術を取り入れたマニュアルも紹介していました。

当時のお客様へ伺うと、「興味はあるけれど、価格や制作の技術、工数確保を得ることが難しい」といったご意見を頂戴しています。良い技術であっても、取り巻く環境が伴わなければ、その効果を利用できません。

本記事では「マニュアル作成で3DデータをAR技術に活用する理由とは」と題して、これからのマニュアル作成に3DデータとARはとても相性がよいことから、将来への期待を込めて解説します。

マニュアル作成 (取扱説明書) で3Dデータを活用した事例を紹介

マニュアル作成では、対象となる製品を様々な角度から描画したイラストを用います。

以前は、取材時の写真や図面をもとに、イラストレーターが一からイラストを作成していましたが、近年は3Dデータを描画したい角度に配置し、編集ソフトで加工するケースが多いと聞いています。パーツの展開図に至っては、ビュワーを用いることにより、3Dデータからの加工が以前より格段と容易になっています。

更に、デジタルで表現可能なマニュアルの場合は、紙より制限が無いため、アプリやWeb上で閲覧出来る3Dデータをコンテンツとして活用し、拡縮や角度調整といった動きをマニュアル上で表示できれば、わかりやすい表現の幅が向上します。また、3Dをアニメーション化することで、強調、色味、角度を変えると視覚的な効果も大きいです。

お気づきのように、マニュアル作成のためだけに、3Dデータを作成することを推奨していません。3Dデータをお手元にお持ちなら、設計、製造工程で作成した3Dデータを、マニュアル作成でも活用することをオススメしています。製造業では製品に付属するマニュアルは必須です。これまで設計、製造でのみ作成していた3Dデータが後工程でも扱いやすくなれば、活用事例は今後も増えてくると予想します。

マニュアル作成で3Dデータの有効活用を強く訴えるワケ

これまで組図レスの話の際に、「2次元の図面がないと、現場で3D CADは扱える人材が少ないから大変となる」といったスキル面の不安や、「現場の油まみれの手、作業中の難しい体制、工場に設備を導入する費用が足りない」など環境面での懸念から、導入が難しいという声を聞きました。

数年前であれば、それも仕方がない判断であったのかもしれません。しかし、3Dデータを取り巻く環境は著しく変化し、現場環境の快適性も求められ、いろいろな改善がされているようです。データ容量も軽量化され、アプリだけでなく、アプリ無しでWebブラウザ表示も可能な時代が訪れています。

若い人材を求めるにも、3D CADを積極的に導入し、これまでとは異なるアプローチで人材を確保したいといった企業様にとっても好機です。これまで縛られていた2次元化から解放することで、全く違う“考え方”の製品やマニュアルがお客様のもとに提供できるようになるのではないでしょうか。

「読むマニュアルから、見るマニュアルへ」

3Dデータが扱えるようになれば、後工程となるマニュアル作成工程においても効率化が期待され、閲覧時には表現の幅が増すマニュアルの可能性が見えてきます。

後ほど紹介するARとも相性がよいのが3Dデータです。誰もが容易にコンテンツ作成できるようになれば、今後益々現場で見かける機会が増えてくるのではないでしょうか。

マニュアル作成の会社が考えたこれまでのAR技術活用の限界

3年前までの展示会では、当社で考え、ご紹介した3D×AR×マニュアルの出展の感想は、正直あと一歩!そんな印象でした。工作機械のモックアップを制作し、当時最新のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用意し、作業点検を実際の装置に3DをARで重畳し、仮想のボタンを設けて、それを動かすことで操作手順を紹介していました。

その際紙やHTMLのマニュアルを開いて見比べるより、提供出来る情報量が遙かに違うことに実際体験して気付けたのですが、デバイスの扱いにくさ、転送速度などがまだ十分ではなく、「新しいものへのチャレンジ」の意味合いに留まり、ビジネスとして成り立つには至りませんでした。

ただし、着眼点は間違っていなかったのではないかと自負します。

これまで当社が、ARを使ったマニュアルの活用提案の傾向(特に遠隔支援に力を入れていました)と、国交省が進める遠隔臨場の傾向には共通する部分が多く見られます。今後も遠隔支援の環境が整えば、医療や災害現場だけで無く、工場の保守点検や組立手順など、産業機械の現場で当たり前に利用できる世界にならないでしょうか。

現場でのARデバイスのビジネス利用が多くの企業に普及するのは、いつになるのか。数年前の状況からデバイスなどの環境は少しずつ進化していますが、まだ白物家電の域(価格、壊れにくさ、使いやすさ)には達していないと考えます。現場作業員が容易に扱える物になるにはもう少し時間が必要なのかもしれません。

一方、事務所にいる人は、PCの前でオペレーション操作に専念でき、実際のサイズ感など現地でしかわからない部分を、現場で重畳することでサイズのリアル感が増し、場所の制限がある場合には今以上の効果に期待できます。インターネットの世界も5G対応が進み、AR技術を活かせる道が開かれてきているように思います。

まとめ マニュアル作成の転機に、3Dデータ活用とAR技術の相性へ期待

一足飛びに、3Dデータを使ったAR技術で、マニュアル作成し閲覧しましょうというものではありません。まず一つ目に、既存のマニュアル作成の工程で3Dデータを活用する。

二つ目に、デジタルの取扱説明書として3Dデータを表示させる。それだけでも、マニュアル作成の効率化を図り、品質の向上に貢献したことになると考えます。

ARの利点は、複数人で同じ3Dデータを閲覧することができるため、様々な角度(視点)から状況を共有することができます。保守点検など、複数人で遠隔操作をしたい場合には、現場にいる人間と遠地から双方向にリアルタイムでコミュニケーションが取れ、さまざまなデータが共有可能となるでしょう。

このように設計段階で用いた3Dデータがあれば、そこへ情報をプラスしていくことで、保守点検マニュアル、設置マニュアル、組立手順マニュアル、パーツカタログといったマニュアル作成時の活用、コンテンツとしての活用も可能になり、AR技術と組み合わせることで更に幅広い活用が考えられます。

今後、通信環境が整い、丈夫で扱いやすいデバイスも揃えば、マニュアルの転機として「場所に対して制限のない3次元のマニュアル」が普及する時代が訪れるようにならないでしょうか。

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