序章
いつ作成したかわからない、化石のようなマニュアルがでてきた。
あんなに時間とコストをかけたマニュアルなのに、活用されることなくお蔵入り。
思い当たること、ありませんか?
「読まれないマニュアル」「活用されないマニュアル」それは残念ながら、失敗したマニュアル作成の結果なのです。では、どうしたらマニュアル作成に失敗しないのでしょうか。 本記事では「失敗しないマニュアル作成」の注意点を「運用」にフォーカスして解説します。
「何のため?」マニュアルを作成する意味
まずおさえておきたいのは「マニュアルを作成する意味」です。大きくわけて2種類のマニュアル(「業務マニュアル」と「操作マニュアル」)がありますが、マニュアルを作成する意味はどちらも同じなのです。それは以下の3つになります。
- 標準化
- コスト削減
- リスク回避
何のため? 1「標準化」
ズバリ!この目的を達成するため、マニュアルを作成することが大半ではないでしょうか。「一定水準のサービスを提供する」「一定水準を保つ」ために、業務マニュアルは必要不可欠です。
また、「誰が操作しても、同じ結果になる」「誰でも同じ情報にアクセスできる」ためには、操作マニュアルが必要になります。誰かが何かをするとき、「一定の品質」「同じ結果」になる、つまり「標準化」のためにマニュアルを作成する意味があるのです。
何のため? 2「コスト削減」
社員やアルバイトスタッフを育成するため、先輩社員やリーダーは、日々教育に取り組まれています。そこには「人件費」というコストがかかっています。どうやって、教育にかかるコストを削減するかを考えた時、真っ先に考えるのが「業務マニュアルの作成」ではないでしょうか。
また、電化製品が突然使用できなくなったとき、皆さんも一度は問い合わせたことがある「コールセンター」。ここにも「人件費」がかかっています。「操作マニュアル」に正しい使い方や故障かどうかの確認方法を記載することは「問い合わせ件数の削減=人件費削減」につながるとされています。やはり「コスト削減」を達成する意味でもマニュアルは作成されるのです。
何のため? 3「リスク回避」
「リーダーが休んだら仕事が回らなくなってしまう」職場などで耳にする会話です。それは業務の属人化に原因があります。「仕事が回らない」という状況は、職場や企業にとって大きなリスクです。そのリスクを回避するため必要なのが「業務マニュアル」です。マニュアルを見ることで、リーダー以外の社員やスタッフも、その業務を代行でき、「仕事が回らない」という状況を回避できます。
また、「機械を操作していたらケガをした」「誤った使い方をして製品が破損した」など「安心・安全」を脅かすリスクを回避することは職場や企業にとって必要不可欠です。「操作マニュアル」に正しい情報を適切に記載することで、そのリスク回避をサポートすることが可能です。
「リスク回避」のためにも、マニュアルを作成する意味があるのです。
作成したことに満足していませんか?
マニュアルを作成する意味を実感し、「さあ、やるぞ!」とばかりにマニュアル作成に取りかかったあなた。ありとあらゆる情報を記載し、数十ページにもわたる大作が完成!かなりの時間と手間をかけ、マニュアルを作り上げたことに大満足。「これで業務の効率がアップし、職場の環境もよくなるに違いない。」そう思っていたにもかかわらず、職場の状況は以前のまま。そんな経験ありませんか。いったい、なぜなのでしょうか。あなたの作成したマニュアルについて、ちょっと考えてみてください。
「マニュアルを作った」ことに満足していませんか?
「活用されるマニュアル」になっていますか?
「作成した」のに「読まれない」。はじめは「活用されていた」マニュアルも、時間が経ったら「活用されない」。いったいなぜなのか。
そのマニュアル「つくりっぱなし」になっていませんか?
マニュアルは「作成した」だけで終わってしまうと、「作成した」という事実だけしかのこりません。そして、残念ながら「失敗したマニュアル作成」という結果だけがまっています。
失敗してしまった原因は、その「つくりっぱなし」にあるのです。
失敗しないポイントは「運用ルール」にあり
「失敗しないマニュアル作成」における注意点「つくりっぱなし」にしないことです。そして「つくりっぱなし」を回避する重要なポイントは「運用ルール」です。以下の2つに集約されます。
- とにかく使ってみる
- 定期的に更新する
とにかく使ってみる
作成したマニュアルを使ってみると、いろいろなことがわかってきます。
- 読みにくい
- どこに何が書いてあるのかわからない
- 書かれている内容が古い など
「読みにくい」のであれば、文字の大きさ、箇条書き、レイアウト、イラストを使うなど、視覚的な要素で「読みやすい」に変えることができるかもしれません。
どこに書かれているか「わからない」のであれば、見出しを付けるなど、検索性をUPすることで「わかりやすく」改善できます。
内容が「古い」のであれば、定期的に内容をチェックすることで、「最新」の内容に書き換えることができます。
作成したマニュアルの良し悪しは、使ってみないとわかりません。多くの人に使ってもらい、フィードバックをもらうことが、「失敗しないマニュアル作成」につながるのです。
定期的に更新する
せっかくのフィードバックもそのまま放置していては意味がありません。何よりも大切なのは、フィードバックをマニュアルに反映することです。すべてのフィードバックを反映するのではありません。マニュアルへの記載が必要なフィードバックを見極める必要があります。
そのうえで、定期的にマニュアルを更新していくことが「失敗しないマニュアル作成」につながるのです。フィードバッグの重要性にもよりますが、更新時期は半年に1度など、最低限のルールは決めておいた方がいいかもしれません。
まとめ
今回は「失敗しないマニュアル作成」の注意点を「運用」にフォーカスして解説しました。本記事が皆さまのマニュアル作成のお役にたてれば幸いです。
失敗しないポイントは理解できたが、時間やリソースが足りないと思われる方もいらっしゃると思います。その際はマニュアル作成の専門会社に委託することを検討してみてください。当社もその委託先として検討いただけるとうれしく思います。
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