序章
モノづくりを取り巻く環境は日々目まぐるしく変化しています。国際競争の激化や環境問題、少子高齢化による労働者不足など課題は山積です。
そのような時代を勝ち残るためにも、DX推進による経営戦略は喫緊の課題といえます。モノづくりの現場では、3DCADやAI、IoT、RPA等の導入が急ピッチで進められていますが、マニュアルの現状はどうでしょうか。ペーパーレス化がしきりに叫ばれるようになって久しいですが、残念ながら未だ紙のマニュアルが主流となっています。
スマホやタブレットなどのスマートデバイスの普及や5Gの登場によるネットワークの進化に加えて、通信費の価格改定により日本は世界的に見ても維持費の安価な国となりました。 本記事では、そのような変化の中でマニュアルはどのように進化していくのか、現状を分析しながら予想していきたいと思います。
3Dで作るマニュアルとは
3Dデータを使ってのマニュアル作成はメリットがいっぱいです。
ポイント1:マニュアル作成が楽になる
別の記事「3D設計データでマニュアル作成は驚くほど楽になる!」でも説明した通り、3Dデータを使うと、高品質なイラストをスピーディーに作ることができます。
また、3Dデータには様々な情報が含まれていますので、撮影や取材など、他の人の手を煩わす工数を大幅に削減することができます。
ポイント2:実機が必要なくなる
3Dデータがあれば、外観や内部構造が分かるので取材や撮影、およびそれに必要な実機が必要なくなります。
開発段階であれば試作品(モックアップ)の制作や手配が不要になるため、大幅なコスト削減と工期短縮にもつながります。
ポイント3:立体的に見せることができる
イラストや写真では一方からの側面しか見せることができませんが、3Dデータを使うとあらゆる側面や断面などを見せることができます。
また、環境によっては閲覧するユーザーが自由に見る角度を変更することも可能になります。
紙からWEBへ
現代では何か調べ物があるときや製品が故障したときはインターネットで検索、つまりWEB経由で情報を入手することが当然になっています。
では、なぜ人々はWEBで情報を探すのでしょうか。
印刷物(マニュアル)と比較して考えてみましょう。
- 情報が新しい
印刷物は簡単に情報を更新することができませんが、WEBは瞬時に更新することができます。つまり最新情報を得ることが来ます。
- 手軽に調べられる(スマホの普及)
普段からあまり見る機会のないマニュアルはいざというときに探すのが大変ですが、WEBで検索すれば簡単に見つけることができます。
また、せっかく見つけたマニュアルも知りたい情報にたどり着くのに苦労しますが、WEBであればキーワードを検索することができます。 - SNSの普及
若者を中心に広がったソーシャルメディアは今や全年齢層に普及し、情報入手のメインツールとなりつつあります。
- 動画コンテンツ配信(高速ネット回線の普及)
Youtubeをはじめとする動画配信コンテンツも、スマホや高速回線の普及により急速に成長しました。ブランディングや販促を目的とした企業の専用チャンネルも増える傾向にあります。
マニュアルってなぜ読まないの?
一言でマニュアルといっても多種多様です。
みなさんがよく目にするのは製品を正しく使うための取扱説明書ですが、ほかにも組立マニュアル、サービスマニュアル、保守マニュアル、研修マニュアル等々、一つの製品にも数多くのマニュアルが用意されています。
共通するのは、「専門的で難しい情報を分かりやすく伝える」ということですが、残念ながら読んでも分からない、分かりづらいという評価が一般的です。
私たちの業界ではマニュアルのことを「世界一読まれないベストセラー」と皮肉も込めて呼ぶことがあります。
何とか読んでもらえるマニュアルを作らなければと自責の念も込めているのですが、やはり内容をいかに工夫しても紙のマニュアルには限界がありました。 これまでマニュアルの永遠のテーマであった、「分かりやすく伝える」と「読んでもらう」という課題が、前述した3DとWEBによって劇的に変わろうとしています。
3DマニュアルをWEBで見るということ
ここまで読んでいただけた方は既にご理解いただけていると思いますが、3DマニュアルをWEBで見るということは以下のとおりメリットだらけなのです。
・インターネットで配信できるようになる
・3Dで圧倒的に見やすくなる
・スマホやタブレットで見ることができる
・最新情報や変更内容をすぐに発信できる
・ほかのシステムやホームページと連携できる
・制作コストが削減できる
・印刷在庫がなくなる
ポイント1:マニュアル制作に携わる人が楽になる
マニュアル全体を統括するディレクター、マニュアルの構成や文章を組み立てるテクニカルライター、マニュアル内で使用する製品のイラストや分解図を作るテクニカルイラストレーター等あらゆる立場の人たちが、情報の宝庫である3Dデータをベースにすることで、見落としが少なくなり、やり取りがシームレスになり、なにより一番手間のかかっていたイラストの作成や実機の撮影が必要なくなるのです。
ポイント2:ユーザーがよろこぶ
3Dにより劇的に見やすくなったイラストや自分で操作できる3Dモデルにストレスがなくなるどころか、楽しみながら見ることができるようになります。また3Dアニメーション動画により、理解度も上がり安全面でも効果があります。
ポイント3:会社を強くする
世の中の進歩に合わせて、企業内でも単なるIT化やデジタライゼーションからデジタルトランスフォーメーション(DX)への進化を求められています。
3D設計データをマニュアルやアフターセールス分野で活用することはまさにDXといえます。
それによって、生産性の向上や変化に対応できる体制作りを実現し、ブランド価値を高め会社を強くします。
マニュアルはこれからどう進化する?
間違いなく言えることは、今後さらにペーパーレス化とDX化が進むということです。
「WEB」と「3D」はその進化を支える重要なテクノロジーであり、ほかのテクノロジーとの組み合わせでさらに進化し続けるでしょう。
「AI」と組み合わせて、膨大なインターネットの世界から答えを導き出してくれるマニュアルができるかもしれません。
スマートデバイスはさらに進化して、目の前の空間に浮かび上がる3Dを直接操作できるようになるかもしれません。
ネットワーク技術の進化により、それらの進化したマニュアルを世界中いつでもどこでも同時通訳で見ることができる時代もそれほど遠い未来の話ではないと確信しています。
あなたの会社がすでに3D CADを使って設計しているということであれば、すぐにマニュアルへのデータ活用をご検討ください。一部でも構いません。
そして、近い将来かならずやってくるDX時代のはじめの一歩を踏み出しましょう。
当社では何から始めていいか分からないというご相談にも、経験豊富なスタッフが親切丁寧にお答えいたします。また、3Dを活用した様々なソリューションもご用意していますので、ぜひ紹介ページもご覧ください。
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