取扱説明書はなぜ印刷するの?

序章

IT技術が進歩し、製品を取り扱うために必要な情報はネットから取得する時代になりました。わたくしどもが作成させていただく取扱説明書・マニュアルも、ほとんどがデータ納品となり、印刷物を納品することは稀なことです。一方で、紙の説明書(取扱説明書や設置要領書など)が必要なケースも数多く残っています。

本記事では、作成した取扱説明書・マニュアルをどんなケースで印刷する必要があるのか。また、取扱説明書・マニュアルを印刷するときの基本知識について、その概要をまとめてみました。

取扱説明書・マニュアルの印刷が必要になる理由

今更ですが、PL法では『取扱説明書・マニュアルは製品の一部』と位置付けられています。みなさんが家電製品や機器などを購入されたときにも、必ず取扱説明書・マニュアルが付属しています。
SDGsの実現が叫ばれる昨今、ペーパーレス化により取扱説明書・マニュアルの情報の大部分をオンラインで閲覧したり、CD-ROMやDVDで提供することが、あたりまえになっています。
記憶されている方も多いと思いますが、一昔前の「ガラケー」と呼ばれる携帯電話には、うんざりするほど分厚い取扱説明書が付属していました。
しかし、今お使いのスマートフォンには、クイックリファレンス的な比較的薄い冊子や問い合わせ先の情報が付属するだけで、知りたい情報の多くは製品自体を使用しon-lineで閲覧するケースがほとんどです。
便利な反面、その情報がすべて電子媒体であるということは、閲覧には機器の介在が必須であるということです。


つまり、パソコンやスマートフォンでトラブルが発生し、フリーズしたりブラックアウトしたりしたとき、解決の情報をそれ自体からしか得られないとなると厄介です。
このような理由で、現在は製品セットアップ、据え付け情報やトラブル解決方法を冊子で提供し、個々の機能の操作方法についてはメディアまたは内臓・オンラインのデータでカバーするといった、すみわけがなされているようです。
紙に印刷された取扱説明書・マニュアルが今後も必要になるのはこのような理由があるからです。

次に、紙の取扱説明書・マニュアルを制作するため、作成したデータを印刷業者に依頼する要領や手順について記載します。

取扱説明書の印刷を発注するときによくある依頼例

取扱説明書の印刷のみを依頼する場合

作成した取扱説明書・マニュアルの版下データ、PDFデータを印刷業者に渡すだけで印刷は可能です。価格、品質、納期で最適な業者を選びましょう。
とりわけ、最近ではオンデマンドによる安価な印刷業者が増え、WEBサイト等からデータを送信すれば手軽に印刷物を納品してもらうことができます。オンデマンド印刷は、オフセット印刷と比較すると一部あたりの単価は高くなりますが、少量の印刷でよい場合、在庫が長期間になる場合、あるいは印刷品質にあまりこだわらない場合等には、メリットのある印刷手段になります。

取扱説明書の作成から印刷までを依頼する場合

取扱説明書を作成する(データづくりをする)業者が、オプションとして印刷も請け負う場合がよくあります。取扱説明書の作成と印刷の両方を依頼する場合、データ作成と印刷における諸条件を確認、合意した上で依頼することが大切です。依頼者としては、オールインワンで依頼できるので便利です。余談ですが、取扱説明書を印刷会社様で制作する例が多いのはデータの印刷が必要になるからです。

既存データの微修正と印刷までを依頼する場合

作成データがあるけど自社にオペレータがおらず、データ修正から印刷業者に依頼したい、というケースもあるでしょう。これを印刷業者に印刷を依頼する場合、データの手直しを一緒に依頼することになります。
もちろん、取扱説明書の作成業者によるデータ調整も可能です。

取扱説明書の印刷を依頼するときに決定しておきたい仕様・条件

印刷を依頼する際、次のような事項を明確にしておきましょう

仕上がりの寸法

たいていは決まったサイズ(A4、B5など)で印刷することを想定してデータが作られますが、稀に本来のデータ上の寸法から縮小して印刷する場合もありますので、仕上がり寸法の変更がある場合ははっきり伝えましょう。

紙質

紙の種類、厚さ、色などは、取扱説明書に限らずあらゆる書物の見た目、手触り、機能性、印刷価格に影響します。用途により紙質は決まります。
用紙の選定は、印刷業者が最適な紙質をオファーしてくれるので、心配は要りません。また、表紙、見返しの紙質を、本体と異なる紙質にすることもできます。

印刷方法

パンフレットなどきれいな仕上がりにしたい場合や、色ベタやグラデーションをきれいに出したい場合は、オフセット印刷となります。
ページ数と部数が少ない場合、オンデマンド印刷で費用を抑えることができます。但しオンデマンド印刷は、カラーレーザープリンタで出力した程度の品質であることにご注意ください。
多くの場合、印刷業者が最適な印刷方法をオファーしてくれるので、お任せでよいでしょう。

綴じ方法

いくつかの綴じ方法がありますが、通常ページ数や紙質、冊子の分厚さに応じて決めます。
大きく分けて、中綴じと無線綴じの2通りが挙げられます。
中綴じは、二つ折りにした1枚4ページ相当の紙を重ねて、中央を針金で留めて綴じます。比較的簡単にできるのですが、表紙とページ中ほどでは、小口(冊子を開いたときの外側)の余白の幅が変わってきますので、爪見出しを入れる場合に注意が必要です。また、大量の紙を一度に綴じると上記も含め品質に支障が出るため、最大ページ数の制限があります。

無線綴じは、表裏2ページ相当の紙を重ねて、片側を接着剤で接着し綴じる方法です。この場合、表紙としてページサイズの二倍に背表紙の厚さを含めたサイズの用紙が必要になります。背表紙の幅は、用紙の種類と枚数で決まります。背表紙は薄すぎると付けられないので、最少ページ数の制限があります。

その他のオプション

穴あけ、バインダー綴じ、紐綴じ、上製本
取扱説明書で使用することは多くありませんが、保管、管理するうえで必要であればオプションとしてオーダーすることができます。

印刷を外部に依頼するときの注意点

オフセット印刷の場合は、刷版を作成するために、少量の印刷では価格が割高になります。
安価にすませたいがために品質を落としすぎると、取扱説明書の視認性や紙の耐久性に問題が発生するので適切な品質を保つことが大切です。

オンデマンド印刷は、安価で仕上がりが早いですが、品質はカラーレーザープリンタ相当であることに留意ください。
カラー印刷では、モニターに表示される色やカラープリンターで打ち出した色と、実際に印刷された色では見た目違いがあります。そのような理由で、刷り上がったサンプルを事前に確認する必要があります。


また、印刷の場合、オンデマンドであっても、印刷の準備・調整作業が必要であり、基本料金が一様に発生するため部数が半分になっても価格が半分にはなりません。ページ1枚あたりの換算単価は、部数により変動することに留意ください。

まとめ

取扱説明書を印刷するうえで、どういった情報が必要か、何に気を付ければよいかを紹介しました。
弊社でも取扱説明書の原稿作成、版下作成および印刷をワンストップで請け負っております。

勿論、印刷だけでもご相談ください。

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