マニュアル作成サービスで事業戦略の達成は可能なの?

序章

マニュアル作成サービスの創成期、お客様のお困り事は、PL法への対応と企業防衛、輸出のための規格対応、設計者のコア業務への専念等が大半でした。お客様のマニュアル作成会社への業務委託の目的は、それらの問題を解決し、企業としての義務と責任を果たすことにありました。つまり、モノづくりの世界でマニュアル作成は、部品調達の一部としての扱いで、コストの対象としての認識にすぎませんでした。一方では、PL裁判での勝訴、製品輸出のサポート、設計者の労働時間の削減等、多くのお褒めの言葉もいただきました。大変、光栄なお言葉でありましたが、マニュアル作成の真の必要性やコンテンツの活用について論議されないまま長い年月が過ぎています。

実は、マニュアルには製品のユーザは勿論、製造部門、販売部門、サービス部門等でも活用できて、企業の経営効率のアップにつながる情報が詰め込まれています。これらの情報を活用することで、マニュアル作成サービスを「コスト」から未来に向けての「価値」へ置き換えることが可能になるのです。この記事では、企業におけるマニュアルの役割と重要性、マニュアル作成サービスの事業戦略への活用について解説していきます。

マニュアル作成を何故面倒だと思うの?

1980年代後半。マニュアル作成ビジネスのきっかけとなるPL法(製造物責任法)の施行により、国内メーカ様のマニュアル作成サービスへの関心が一気に高まった時期の話です。
多くのメーカで、PL法という新しい法律の施行に対して大変神経質になっていました。元来、生真面目な性格の技術者達ですから、「PL法をおざなりにして裁判で負けたら会社が倒産する程の賠償金を取られるらしい」等、悲観的な噂だけを鵜吞みにし混乱状態に陥っていました。
その点では、マニュアル作成サービス会社の多くは、PL法施行がビジネスのきっかけとなった訳で、筆者もその片棒を担いだ側なのかもしれません。

当時のマニュアル作成サービスの営業資料をレビューしてみると、その騒ぎの一端が垣間見られます。「マニュアルは訴訟時の抗弁材料」「海外輸出のための必要書類」「設計者の長時間労働問題の解決」等、脅迫文かと思うくらいネガティブ・ワードだらけの内容です。私たちはマニュアル作成サービスを掲げ「モノづくりをマニュアル視点からサポートしたい」との思いでPL法対応作業をおこない、それなりに満足のいただける評価をいただいておりました。しかし、メーカ様にしてみれば、PL法施行への対応は、コスト増の要因以外の何物でもなかったのです。マニュアルの見直しの目的が、新しい法律への対応義務では「マニュアル作成=面倒くさい作業=余分なコスト」という発想になって当然だと思いました。

マニュアル作成サービスの意義と価値について考えてみました

では、面倒くさく義務と責任だけで作成を強いられるマニュアルとは一体何でしょう。
広い意味でマニュアルは、「行動指針やそれらの達成手順が具体的に正しく整理・可視化され、それを読んだ(見た)誰もが同じ行動を行い、同じ結果を得ることのできる情報」と定義できると思います。

マニュアルは、19世紀の後半にアメリカでフレデリック・テイラーが、工場の作業工程の改善、標準化に携わり、コストの圧縮や生産性の向上を図り、そのマネージメント手法を体系化したことに由来すると言われています。つまり、マニュアルは、その起源において企業のパフォーマンスを向上させ、生産活動の成果を向上させるツールだったようです。企業は、マニュアル作成による生産手法の標準化とその管理手法を導入することで、自らは生産性・品質の向上、そして顧客には、安価でより良い製品の提供を可能にしたのです。

身近には、ファーストフード店の厨房の調理業務や、客と店員との間で交わされるお約束の会話にマニュアル作成の成果を見ることができます。昭和世代の筆者は、この作法に少なからず違和感を覚えますが、正確でスピーディそしてリーズナブルなサービスには大変満足しております。しかも、全国のどこの店舗でも一様に供与される予想・期待を裏切らないサービス品質は、常に安心を感じます。
マニュアルの整備や業務の標準化は決して義務でも責任でもなく、企業経営の根幹である基本概念を事業戦略の観点から実現するためのツールでもあります。

マニュアルを事業戦略の具現化ツールとして考えてみました

もともと工場の作業の標準化による生産性のアップを目的としたマニュアルは、事業戦略を実現するための戦術のひとつといえます。例えば、業務マニュアルは、業務の標準化、業務の成果向上、業務の属人化排除等に寄与します。製品マニュアルも同様です。行動指針を見直し標準化したうえで、情報を伝える相手と目的を明確にして、コンテンツを最適化・可視化することで、企業活動のパフォーマンスアップが実現します。

少々乱暴ですが、具体的に製品マニュアルの整備によって期待できる効果を具体的に挙げてみます。

【期待できる効果】

  • 保守点検マニュアル ⇒ 生産ラインにおけるダウンタイムの短縮、予防保全
  • 組立マニュアル   ⇒ 製造現場での作業標準化による生産効率のアップ
  • 製品紹介マニュアル ⇒ 営業シーンでのプレゼンコンテンツの品質向上、訴求力のアップ
  • サービスマニュアル ⇒ サービスマンの不具合対応時の経費圧縮、修理効率のアップ

このように、製品マニュアルの整備は、企業内外でコストの低減や、サービス品質のアップを実現し、企業活動の価値やブランドイメージを高めることにもつながるのです。
つまり、マニュアルは事業戦略の達成プロセスで、具体的な効率化、標準化の手順を示し、それらを実現するツールになることを証明しています。企業が事業目標を達成するためには、戦術面で正しく最も効率の良い方法を明文化し、関わる人すべてと共有しなければなりません。それこそが、マニュアル作成の本質であることに気づいていただけたでしょう。

マニュアル作成サービスはコストからバリューへ

30数年前にスタートしたマニュアル作成サービスは、その目的や手段を変えながら現在に至っています。当初、マニュアル作成サービスはPL法への対抗手段として、企業防衛を支援するという目的で始まりました。その後、製品安全志向の高まりで、使用者の安全確保のためのコンテンツ作成を重点的に行うようになります。それと同時に、国際規格への準拠やマーケット拡大による国家・地域ごとのローカライズ、法令・規格への適合等の要求に応えてきました。
そして今、マニュアル作成サービスは、その起源である事業戦略にそった事業目標達成の施策・ツールとして真価を発揮するべき時代を迎えているのです。折しもDX推進(デジタルトランスフォーメーション)という追い風を受けながら、マニュアルのコンテンツは、デジタライゼーションにより「読む」から「見る」そして「使う」へとサービスの付加価値を高めています。マニュアル作成サービスは、コストからバリューへその評価を変え、企業の事業戦略の牽引ツールとして、その役割を担えると考えます。

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